保湿剤は、乾燥した肌に水分を与えたり、皮膚表面を保護して水分の蒸発を抑えたりするために使われる外用剤です。乾燥によるカサつきや肌荒れが気になるときなどに用いられます。
医療用の保湿剤には、ヘパリン類似物質含有製剤、尿素製剤、ワセリンなどがあり、それぞれ働きや使用感が異なります。皮膚の状態や使用する部位、年齢などに合わせて選ぶことが大切です。
ヘパリン類似物質含有製剤は、角層に水分を与えることで皮膚を保湿する外用剤です。クリーム、ローション、フォームなどの剤形があり、使用する部位や状態に応じて使い分けられます。
保湿剤として使用されますが、すべての乾燥肌に同じように適しているとは限りません。症状や皮膚の状態に応じて、医師や薬剤師に相談しましょう。
尿素製剤は、角層に水分を与える保湿作用に加えて、角質を柔らかくする作用があります。
そのため、乾燥して角質が厚くなった部分などに用いられることがあります。一方、皮膚に炎症や傷がある場合には刺激を感じることがあるため、使用する部位や皮膚の状態に注意が必要です。
ワセリンは、皮膚の表面に油性の膜をつくり、水分が蒸発するのを防ぐ働きがあります。
皮膚を保護する目的でも用いられ、乾燥が気になる部分などに使用されます。ただし、べたつきが気になる場合があるため、使用する部位や季節、好みに応じて剤形を選ぶことも大切です。
保湿剤には、軟膏、クリーム、ローション、フォーム、スプレーなど、さまざまな剤形があります。効果だけでなく、塗りやすさや使用感、使用する部位なども考慮して選びます。
皮膚を保護し、柔らかくする働きがあります。一般に刺激が比較的少ない剤形ですが、べたつきやすく、洗い流しにくいことがあります。
軟膏よりもべたつきが少ないものが多く、水で洗い流しやすいのが特徴です。水中油型(O/W型)や油中水型(W/O型)などがあり、製品によって使用感が異なります。
伸びがよく、広い範囲に塗りやすい剤形です。乳剤性や溶液性などがあり、比較的さっぱりした使用感のものもあります。
容器から出すと泡状になるタイプです。伸ばしやすく、広い範囲に素早く塗りやすいのが特徴です。
広い範囲に使いやすく、手が届きにくい部位にも塗布しやすいタイプです。一方で、使用量を調整しにくい場合があります。
保湿剤は冬だけでなく、肌の状態や年齢、生活環境などに合わせて年間を通して使用することが大切です。
特に冬は空気が乾燥しやすいため、皮膚の乾燥が気になる場合は、軟膏など皮膚を保護しやすい剤形を選択肢にできます。一方、夏や梅雨など汗をかきやすい時期には、ローションやフォーム、クリームなど、使用感も考慮して使い分けるとよいでしょう。
ただし、季節だけで剤形を決めるのではなく、皮膚の状態や塗る部位、使用する人の好みなどを考慮することが大切です。
手の保湿では、十分な量をムラなく塗ることがポイントです。使用量の目安は製品によって異なるため、処方薬の場合は医師や薬剤師の指示に従いましょう。
人差し指の先端から第1関節までチューブから出した量(1FTU)が、両手のひら2枚分程度の面積に塗る量の目安とされます。製品によって適量が異なるため、処方時の指示がある場合はそちらを優先します。
ローションは製品によって適量が異なります。目安量が記載されている場合は、製品の説明に従って使用しましょう。
保湿剤を塗ることを嫌がる子どももいます。べたつきやにおいなど、使用感が負担になっていることもあるため、医師や薬剤師に相談し、子どもが続けやすい剤形を検討しましょう。
保湿剤は比較的使用しやすい外用剤ですが、種類によっては皮膚の赤み、発疹、かゆみ、刺激感などが生じることがあります。
また、同じ保湿剤でも使用できる部位や注意点が異なります。処方された保湿剤は、指示された用法・用量や使用部位を守って使いましょう。
ヘパリン類似物質含有製剤では、使用した部位に赤み、発疹、かゆみ、刺激感などがみられることがあります。
症状が現れた場合や使用を続けても改善しない場合は、使用を中止するかどうかを含めて、医師や薬剤師に相談しましょう。製剤の主成分だけでなく、添加物などが関係している可能性もあります。
また、出血しやすい病気がある場合などは、使用前に医師へ相談することが大切です。
尿素製剤は、炎症や傷のある皮膚に使用すると、ピリピリした刺激を感じることがあります。
刺激が強い場合は使用を続けず、医師や薬剤師に相談してください。また、目や粘膜など、製品で使用が認められていない部位には使用しないようにしましょう。
ワセリンは皮膚を保護する目的で幅広く使用されていますが、まれにかぶれ、発疹、かゆみなどが起こることがあります。
使用後に皮膚の状態が悪化した場合は、使用を続けず、医師や薬剤師に相談しましょう。特に乳幼児の肌に使用する場合は、製品の表示や使用方法を確認することが大切です。
保湿剤を使用しても乾燥、赤み、かゆみなどの症状が続く場合は、単なる乾燥肌ではなく、湿疹やアトピー性皮膚炎など別の皮膚疾患が関係している可能性があります。
特に、強いかゆみが続く、皮膚から出血する、ジュクジュクしている、症状が広がっているなどの場合は、自己判断で保湿剤だけを使い続けず、皮膚科などの医療機関に相談しましょう。
保湿剤は皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚を保護するために役立ちますが、すべての皮膚症状を保湿だけで改善できるとは限りません。症状に合った治療が必要な場合もあるため、気になる症状が続くときは専門家に相談することが大切です。
保湿剤には、ヘパリン類似物質含有製剤、尿素製剤、ワセリンなどがあり、それぞれ保湿や皮膚の保護における特徴が異なります。また、軟膏、クリーム、ローション、フォーム、スプレーなど剤形によっても使用感や塗りやすさが変わります。
肌の状態や使用する部位、年齢、季節などに合わせて、無理なく続けられる保湿剤を選ぶことが大切です。
保湿剤を使用して刺激や発疹などが生じた場合や、乾燥やかゆみが続く場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。処方された保湿剤については、自己判断で使用量や使用部位を変更せず、指示された方法で使用することが大切です。
※参考記事:医療情報メディアmedicommi記事リンクはこちら