クオール株式会社

医療安全対策への取り組み(プレアボイド※)

クオール薬局では、患者さまの副作用の未然回避や重篤化回避、また薬物治療効果の向上につなげられるように、日々の取り組み事例を社内で共有しています。
これらの事例を社内で共有することで、薬剤師が提供する医療の質の向上を図っています。
このページでは、クオール薬局での患者さまへの安心・安全の取り組みを詳しく知っていただき、様々なお薬に関するご相談のきっかけとなるよう、事例の紹介を行ってまいります。

薬剤師は患者さまのために具体的には、

  • 患者さまへお薬をお渡しする際にお聞きした情報から、処方されたお薬の飲み合わせや、検査結果・副作用歴・アレルギー歴とお薬との問題点などを医師に問い合わせし、患者さまが安心して服用できるように努めています。
  • 服用後の体調変化等を継続的にフォローし、患者さまのご了解を得て、医師への情報提供を行っています。
  • 小児、妊婦、授乳婦、ご高齢の患者さまなど、クオール薬局にご来局される患者さまおひとり、おひとりに合わせた丁寧な服薬指導を実施しています。

プレアボイドとは、Prevent and avoid the adverse drug reaction(薬による有害事象を防止・回避する)という言葉を基にした造語です。

事例一覧

NEW事例15 食物アレルギーがある方への漢方薬処方

漢方薬を構成する生薬は、自然界にある植物や動物、鉱物などが含まれており、その中には食品としても利用されているものがあります。該当の食品に対しアレルギーがある方が服用すると健康被害を引き起こす恐れがあるため、処方された薬剤が安全か、薬剤師は確認を行っています。
本事例では、患者さまのシナモンアレルギーの既往を聞き取り、処方された漢方薬に含有される生薬の「ケイヒ」がアレルギーの原因物質である事に気付き、リスク回避に繋がりました。

カレーを食べた後に嘔気を感じ受診された患者さま。

薬局で患者さまに聞きとると、シナモンアレルギーである事がわかりました。

シナモンはスパイスとしてカレーに使用される場合があるため、患者さまの体調変化につながったのではないかと薬剤師は考えました。

今回、漢方薬の五苓散とその他の胃腸薬等が処方されていましたが、五苓散に含まれる「ケイヒ」の主成分はシナモンの香り成分でもあります。

そのため、薬剤師は医師へ、五苓散の服用によりシナモンアレルギー発生のリスクがある事を伝えました。

その結果、五苓散は削除となり、その他の胃腸薬で対応をする事になりました。

〈処方変更〉
五苓散、その他の胃腸薬

五苓散は中止、その他の胃腸薬で対応

事例14 お薬による血栓症リスクの回避

血管の中で血液が固まると血栓が形成されます。その血栓が、血流を遮ってしまう状態を血栓症といいます。例えば、長時間同じ姿勢を取り続けることで血行不良となり、血栓が生じるエコノミークラス症候群が良く知られています。ごく稀にですが、一部のお薬の副作用により血栓が生じる場合があります。本事例は血栓症のリスク回避に薬剤師が貢献した事例です。

風邪症状で、炎症止めのステロイド(ベタメタゾン)を含む配合剤が処方された女性の患者さま。

持参されたお薬手帳には、低用量ピルが記載されていました。現在の服薬状況を薬剤師が確認すると、「血液検査の結果で血栓症の疑いが高いと診断され、低用量ピルは中止となった。」との事でした。

低用量ピルやステロイドは、どちらも重大な副作用として血栓症が報告されている薬剤です。血栓症の患者さまが、ステロイド(ベタメタゾン)を服用すると、さらに重篤化し、脳梗塞や心筋梗塞など生命にかかわる可能性もあります。

薬剤師は処方医師に患者さまの血栓リスク状況について情報提供しました。その結果、ベタメタゾンを含む配合剤は中止する事となりました。

〈処方変更〉
ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤

中止

事例13 乳癌再発予防薬と骨粗鬆症の治療薬の飲み合わせで注意が必要な事例

乳癌の手術後には、患者さまのタイプにあわせて女性ホルモンの生成を抑制するアロマターゼ阻害薬を長期間服用することが、多くあります。女性ホルモンの低下は乳癌の再発を予防する一方、骨密度の低下をきたすことが知られています。本事例ではアロマターゼ阻害薬と服用中の骨粗鬆症治療薬の飲み合わせについて、薬剤師が医師へ情報提供し処方変更となりました。

乳癌の手術後、再発予防でアロマターゼ阻害薬を服用中の事例。

今回、骨密度の低下から骨粗鬆症治療薬が新規で処方されていました。薬剤師は「乳癌診療ガイドライン」を参照して両剤の併用を確認しました。

ガイドラインでは、再発予防でアロマターゼ阻害薬の継続治療において、アロマターゼ阻害薬と骨粗鬆治療薬(ラロキシフェン)との併用は治療効果が低下するという研究結果があり、併用は避けるべきとの注意喚起があります。

薬剤師が医師にガイドラインの記載について情報提供を行った結果、より安全に使用できる骨粗鬆症治療薬に変更となりました。

〈処方変更〉
ラロキシフェン60mg

アレンドロン酸ナトリウム錠35mg

事例12 食事の影響を受けるお薬の用法変更を提案した事例

お薬の中には、食事を摂ることで、吸収や代謝に影響を受けるものがあります。そのようなお薬は服用方法によっては、期待する効果が得られなかったり、作用が強く出すぎたりする可能性があります。本事例では食事の影響を受けるお薬の情報を薬剤師から医師へ提供する事で、安全な薬物治療につなげる事ができました。

食事の影響を受ける抑うつ症状を改善するお薬を飲んでいた患者さまの事例

この患者さまは、これまで1日1回 寝る前にお薬を飲んでいましたが、今回から1日3回 朝夕食後・寝る前に服用方法が変更となっていました。

処方されていたお薬は空腹時に服用することで、ゆっくりと吸収され、効き目が長く続くお薬です。担当した薬剤師は、医師に今回処方のお薬は、食後に服用すると、急激に吸収され効果が持続しない恐れがある事を伝えました。医師からは「患者さまの体調が思わしくないため、服用回数を1回から3回に変更したい」と言われました。薬剤師は、医師の処方意図を尊重しつつ、安定したお薬の効果が得られるように、空腹時である起床時と食間(食後2時間)に服用する事を提案し、服用方法が変更となりました。

〈用法変更〉
クエチアピンフマル酸塩徐放錠50mg 6錠 1日3回 朝食後・夕食後・就寝前

クエチアピンフマル酸塩徐放錠50mg 6錠 1日3回 起床時・昼食後2時間・就寝前

事例11 診療ガイドラインにもとづく糖尿病治療薬の飲み合わせチェック

糖尿病により血糖値が高い状態が続くと心臓や腎臓の病気や失明、動脈硬化症などの合併症発症の恐れがあります。食事療法、運動療法、薬物療法での治療や対応が行われます。薬物治療では、数種類の糖尿病薬が用いられます。薬局薬剤師が糖尿病薬の飲み合わせに関し、糖尿病診療ガイドラインにもとづいて、安全管理に貢献した事例です。

糖尿病治療薬は、膵臓でインスリンを出すことで血糖値を下げる作用の薬剤から、食事により腸から分泌されるインクレチンホルモンを介して血糖値を下げる作用の薬剤、腎臓で余分な糖分を排出させる薬剤など多種多様な作用をもつ薬剤が数種類存在しています。
血糖値改善のために、これらの糖尿病薬を同時に複数服用する場合には、作用が異なる薬剤を組み合わせることが推奨されています。

薬局薬剤師は、糖尿病診療ガイドラインの薬物療法にもとづき、薬剤の作用やその組み合わせについて安全確認を行っています。本件は、処方医へ同じ作用をもつ糖尿病薬の重複について情報提供し、重複投与を未然に防止することが出来た事例です。

〈処方変更〉
ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩配合錠(選択的DPP-4阻害薬/ビグアナイド系薬)配合剤
セマグルチド(GLP-1受容体作動薬)

メトホルミン塩酸塩ビグアナイド系薬
セマグルチド(GLP-1受容体作動薬)

ビルダグリプチン(選択的DPP-4阻害薬)とセマグルチド(GLP-1受容体作動薬)は同じ作用をもつ薬剤

事例10 薬剤師の聞き取りからアスピリンによる副作用の重篤化を回避

お薬は病気の治療目的で使用しますが、目的としない副作用が生じる場合があります。副作用は早期発見、早期対応で重篤化を回避する事が大切です。本件は、薬局薬剤師が患者さまへの聞き取りから体重増加、唇の腫れとして現れた血管性浮腫の副作用初期症状に気付き、医師へ薬剤変更の処方提案したことで重篤化を回避出来た事例です。

脳梗塞の既往歴がある患者さまが、血液をさらさらにするために毎日少量のアスピリンを服用していました。来局時に薬剤師は患者さまから「最近急激に体重が増えた。唇が腫れたので皮膚科を受診時、血管性浮腫と診断された」と聞き取りました。

血管性浮腫は、急激に皮膚や粘膜が腫れたりむくんだりし、アスピリンなど解熱消炎鎮痛剤や抗生物質など、いくつかの薬剤を原因として発症します。稀ながら、咽頭に症状が現れ、悪化すると気道狭窄や気道閉塞で呼吸困難に至る場合があり、早期に対処する事が重要です。

薬剤師は、患者さまが服用しているアスピリンが血管性浮腫の原因薬剤となっている可能性があると考えました。すぐに、処方医師に現状を報告し、同じ効果を持つ別の薬剤への処方変更の提案を行ったところ、薬剤変更となりました。

後日、薬剤師が症状や体調変化確認のためお電話したところ、薬剤変更後、血管性浮腫も改善している事を確認出来ました。

〈処方変更〉
アスピリン錠100mg

クロピドグレル錠75mg

事例9 経皮鎮痛消炎剤による光線過敏症(日光アレルギー)を回避した事例

ケトプロフェン外用薬は痛みや炎症を抑えるため皮膚に使用する薬剤です。薬剤使用部位を日光にさらすことにより、光線過敏症と呼ばれる、かゆみを伴う発疹や、発赤、炎症などの副作用が報告されています。薬剤師が患者さまの生活スタイルを考慮して、光線過敏症を引き起こす可能性が少なく、日焼け止めとの併用が可能な薬剤を提案しました。

初夏の頃、首の痛みで受診された20代の女性患者さまの事例。

今回、首に使用するため、ケトプロフェンローションが処方されていました。ケトプロフェンは紫外線による光線過敏症の注意喚起がされており、光線過敏症の既往歴のある患者さまには禁忌(使用しないこと)とされています。紫外線を避けて使用すべきですが、日焼け止め、香水などに含有されている紫外線防止剤の成分オクトクリレンと共に使用する事でも、光線過敏症の報告があることから、日焼け止めの使用は推奨されていません。

患者さまは、季節柄、首まで覆う濃い色の洋服を着る事を希望されませんでした。
薬剤師は医師へ、患者さまの生活スタイルに合い、夏場にも使用しやすいローションタイプの消炎鎮痛剤の選択肢について情報提供を行いました。その結果、光線過敏症の既往歴のある患者に禁忌ではなく、日焼け止めと併用の出来る薬剤に変更となりました。

〈処方変更〉
ケトプロフェンローション3% 首 1日3~4回 塗布

ジクロフェナクナトリウムローション1% 首 1日3~4回 塗布

ジクロフェナクナトリウムにおいても光線過敏症が発生する場合がございます。

事例8 うっかりドーピングを未然に回避した事例

風邪薬や抗アレルギー剤には、スポーツ選手にとってドーピングとなってしまう成分が含まれている場合があります。薬剤師は処方された薬の中に禁止物質が含まれている事に気が付き、処方提案を行いました。その結果、うっかりドーピングを回避できました。

世界的なプロスポーツ選手の処方事例。

鼻づまり改善のために、抗アレルギー剤が処方されていました。スポーツ選手が服用する薬剤は世界アンチドーピング機構(WADA)の禁止物質を避ける必要があります。薬剤師は社内のスポーツファーマシスト(最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有する薬剤師)と共に、その成分を確認しました。処方された薬の中に含有されるプソイドエフェドリン(※)はその興奮作用により競技会で禁止される物質であることが判明しました。薬剤師は医師へ禁止物質を含まない他の抗アレルギー剤の処方提案を行い、薬剤変更となりました。

例外的に尿中濃度が一定以下の場合や、医師の判断により治療目的での使用に際しTUE申請した場合には、認められることがあります。

〈処方変更〉
フェキソフェナジン塩酸塩/塩酸プソイドエフェドリン配合錠

ビラスチン錠20mg

事例7 お薬手帳を活用した病院薬剤師と副作用情報連携-アセトアミノフェンによる肝障害リスクを回避した事例

アセトアミノフェンは、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層の方が、処方薬のみならず市販薬としても汎用する解熱鎮痛剤ですが、肝障害(肝機能の低下)に注意が必要です。本事例では、お薬手帳を通じて、病院薬剤師と薬局薬剤師が連携し、アセトアミノフェンの服用による肝障害リスクを回避しました。

解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンの処方事例。

アセトアミノフェンは、過剰摂取や肝機能低下状態等において、重篤な肝障害に至る恐れがあるお薬です。高用量で長期間使用する時には、定期的な肝機能の検査を行うなど慎重な使用が推奨されています。
受け付けた処方箋には血液検査の結果が記載されており、薬剤師は肝機能の数値が基準値を超えていることに気付きました。さらにお薬手帳には、病院薬剤師より「アセトアミノフェンの服用にて肝機能異常」と記載されていました。
薬剤師は今回アセトアミノフェンが1500mgの高用量で90日間もの長期間処方されていたことから、肝機能の悪化を懸念し、医師に情報提供を行いました。その結果、肝機能に影響の少ない解熱鎮痛剤に変更となりました。

〈処方変更〉
アセトアミノフェン500mg 3錠/毎食後 90日分

セレコキシブ錠100mg 2錠/朝夕食後 90日分

事例6 乳幼児への抗ヒスタミン薬投与による熱性けいれんのリスクを回避した事例

抗ヒスタミン薬は、咳や鼻水などを抑える作用をもち、乳幼児へ処方されることの多い薬剤です。本事例では、抗ヒスタミン薬による乳幼児の熱性けいれんのリスクを薬局薬剤師が気づき、回避できた事例です。

お母様と一緒に1歳男児が、抗ヒスタミン薬の処方でA薬局へ来局されました。

抗ヒスタミン薬の中には、熱性けいれんを発症したことのある乳幼児に対し、発熱時の使用が推奨されないものがあります。小児科の処方を数多く受け付けていたA薬局では、日頃より局内で特定の薬剤による熱性けいれんのリスクを共有していました。

当日、抗ヒスタミン薬の処方せんを受けたA薬局の薬剤師は、患児の履歴に熱性けいれんの既往歴がある事に気付いたため、よりリスクが低く、同じ効果を持つ薬剤への変更を医師へ提案し、処方変更となりました。

〈処方変更〉
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 シロップ0.04%
ケトチフェンフマル酸塩 シロップ0.02%

レボセチリジン塩酸塩 シロップ0.05%

事例5 薬剤師から医師への情報提供による、妊婦の方が安全に服用できるお薬への変更

妊娠している方が服用することで、胎児の成長等に影響を及ぼすお薬があります。本事例では、薬剤師から処方医に妊娠中でも服用できる代替薬への変更を提案し、安全な服薬と治療に繋がりました。

体調不良によりお子様連れで来局された女性患者さま。

処方された抗菌薬(細菌の増殖を抑え、殺菌作用を示す薬剤)は、胎児の成長等に影響を及ぼす恐れから、妊婦の方は服用を避けるべきお薬でした。
薬剤師が年齢などから患者さまに妊娠の有無を確認したところ、患者さまは妊娠中であり、医師へ情報提供と、より安全性の高い抗菌薬への変更提案を行いました。

〈処方変更〉
ラスクフロキサシン塩酸塩錠

セフジトレンピボキシル錠

事例4 CT検査に使用するヨード造影剤と糖尿病薬メトホルミンの併用による重大な健康被害を防いだ事例

病院での検査や手術などの前には休薬すべきお薬があります。本事例では薬剤師が患者さまから検査の予定を聞き取り、服用中の糖尿病薬メトホルミンの休薬について確認すべきと考えました。医師へ確認を行い、休薬となり、重大な健康被害を防ぐことが出来ました。

内科で糖尿病のお薬メトホルミンを服用中、外科で大腸がんの術後経過観察中の患者さまの事例。

内科処方で来局された際、かかりつけ薬剤師は次週外科で検査予定がある事を聞き取りました。
メトホルミンは、CT検査でヨード造影剤を使用する場合、休薬すべき薬剤です。メトホルミン服用中にヨード造影剤を使用し、急性腎不全で緊急入院となった事例などが報告されています。
薬剤師は外科での検査の予定を内科医師に伝えたところ、メトホルミンは5日間の休薬に変更になり、患者さまは問題なく検査を受けることができました。

〈処方変更〉
メトホルミン塩酸塩250mg 2錠 朝夕食後 30日分

メトホルミン塩酸塩250mg 2錠 朝夕食後 25日分

処方日数変更(検査2日前より検査2日後まで計5日間休薬)

事例3 抗リウマチ剤の連続服用による重大な健康被害を防止した事例

免疫抑制剤であるメトトレキサートは、休薬期間が必要なお薬です。誤って連日服用することにより、骨髄抑制等の命にかかわるような重篤な副作用を引き起こすことがあります。本事例では薬剤師が事前に医師への問い合わせをすることにより、重大な健康被害の発生を回避することができました。

かかりつけ薬剤師として担当している独居で高齢の患者さまの事例。

〈処方内容〉
メトトレキサート2㎎ 2カプセル 1日2回 朝・夕食後 28日分
葉酸 1錠 1日1回 朝食後 28日分

受け付けた処方箋を確認すると、休薬期間が必要であるメトトレキサートが28日分処方されており、服用曜日のコメント記載もありませんでした。患者さまに確認すると、今まではメトトレキサートを火曜日に、葉酸を木曜日に服用しており、次回の受診予定日は4週間後でした。
処方した医師に問い合わせた結果、処方日数は4日(4週)に変更。これまで通り週にそれぞれ1日ずつ、火曜日にメトトレキサート、木曜日に葉酸を服用することになりました。

事例2 市販薬の副作用歴から処方削除となった事例

市販薬では類似名称の商品が複数あるため、患者さま自身が副作用の原因となる有効成分を理解し、薬剤師や医師へ伝えることが難しい場合があります。今回は実際に商品を見せる事で該当成分を推測し、副作用歴、アレルギー歴の確認の重要性を気付かせてくれました。

感冒で処方箋持参の患者さま。以前、市販薬でまぶたが腫れたことがあると訴えがありました。市販薬は類似名称の商品が多く、有効成分も異なるため薬局で陳列していた商品を確認してもらい特定できました。医師へ問い合わせた結果、処方薬のひとつが該当したため削除となりました。

〈処方変更〉
サリチルアミド・アセトアミノフェン・クロルフェニラミン等配合顆粒

削除

事例1 服用期間中の電話フォローアップと医師との連携により、がん治療における副作用の重篤化を回避した事例

昨今、生活の中でがん治療を継続する患者さまが増加しています。しかし、服用期間中に、治療薬による副作用が起きると、やむを得ず治療を中止せざるを得ないケースがあります。本事例では、薬剤師が患者さまへお電話にて副作用を早期に発見し、適切な薬剤の処方を医師へ提案して、副作用の悪化を防止し、がん治療が継続できたケースです。

大腸がん治療薬であるカペシタビンを服用されている40代の男性Aさま。

カペシタビンには「手足症候群」という副作用が起こりやすいとされ、その症状がひどくなり生活に支障が出る場合、やむなく一旦がん治療を中止しなくてはいけないケースもあります。しかし「手足症候群」は、症状が軽いうちに、正しく手足の保湿などを行うことで、症状を軽減したり、進行をおさえたりできるとされています。
本事例では、かかりつけ薬剤師Qが、服用期間中電話にてフォローアップを行っていました。そのお話の中で、薬剤師Qは、Aさんより、手足症候群の初期症状を疑う状況を聞き取りました。薬剤師Qはすぐに医師と連携をとり、副作用の疑いの報告と、ガイドラインに記載のある塗り薬の処方提案を行いました。その後提案した塗り薬が医師より処方され、Aさんに適切にご使用いただくことで、それ以上の「手足症候群」の悪化は回避され、Aさんは無事がん治療を予定通り継続することができました。